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REVIEW「超戦」vol.8 | 初黒星、相手の対策に打ち克つ“超戦”に期待 | 第八戦 vs トヨタ自動車サンホークス

シリーズでお届けするREVIEW「超戦」。

今回は「2019-20 V.LEAGUE DIVISION2 MEN」第八戦、12月7日(土)に愛知県で行われた「トヨタ自動車サンホークス戦」の戦評です。ピックアップ動画も記事の最後にご紹介します!

ヴォレアス北海道 1 30 – 28
20 – 25
21 – 25
22 – 25
3 トヨタ自動車サンホークス

ヴォレアス北海道とトヨタ自動車サンホークスはここまでお互い無敗同士。第1セットは互いにミスが少なく、拮抗した緊迫感のある我慢比べの展開が続いた。セット後半はヴォレアスの大黒柱・古田の得点力によってゲームを優位に進めることに成功し、まずはヴォレアスがデュースまでもつれたセットを制した。しかし第2セット以降は、トヨタ自動車のOP松下やOH吉岡らのサイドからキレのあるスパイクで得点を量産され、ヴォレアスはセットカウント1-3で、今シーズン初の黒星を喫した。

 

この試合はヴォレアスの攻守の持ち味が発揮されない展開が多く見られた。トヨタ自動車のスパイクに対しブロックで仕留め切れず、ブロックアウトなどで失点する場面が続いた。トヨタ自動車はサーブとブロックが非常に戦略的かつ効果的であったことが勝因として大きい。破壊力あるビッグサーブだけでなく、精密にコントロールされたサーブでヴォレアスのレセプションを崩し、攻撃力を弱めることに成功した。またトヨタ自動車のオフェンスは、通常よく見られるミドルからのバックアタック以上に、レフトとライトの両サイドからのバックアタックをオプションとして持っていた。これが功を奏し、どのローテーションでも切れ目のない攻撃を支え、今まで対戦したチームにはない攻撃の持ち味を発揮していた。さらにブロックは、ヴォレアスの組織的なバレーに対応し、状況に応じてスプレッド・シフト(※1)などバンチ・シフト以外の配置を組み合わせ、ブロックタッチや確実なディグによって失点を防いでいた。

バレーボールは、自分たちの目指す戦術を遂行する以上に、相手のもつシステムを分断することで相手がやりたいバレーボールをさせないことが試合を優位に進める鍵となる。今回のヴォレアスは決してミスが多かったわけではないが、トヨタ自動車が「シンプルに守り、多彩に攻める」ゲーム展開を戦略的に維持したことが勝敗を分けたと思われる。

※1「スプレッド・シフト」ってなに?
両サイドのブロッカーがそれぞれのアンテナ付近に広がる配置。スプレッドとは「広げる」の意味。相手のサイド・アタッカーが強力である場合や、サイドからのテンポの早い攻撃に対応するために、3人のブロッカーの間隔をより広げて配置すること。一方でクイックなどの中央からの攻撃に対応しにくくなるというデメリットがあるため、ゲーム展開に応じて臨機応変にシフトの変更をすることが重要になる。

 

PICKUP PLAY

今回は第1セットのデュース場面でも安定した攻撃力を発揮し、チームを牽引した古田選手のアタックです!

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