REVIEW「超戦」vol.10 | 空中戦~ネットを制する者はゲームを制する | 第十戦 vs 富士通カワサキレッドスピリッツ
シリーズでお届けするREVIEW「超戦」。
今回は「2019-20 V.LEAGUE DIVISION2 MEN」第十戦、12月21日(土)に神奈川県で行われた「富士通カワサキレッドスピリッツ戦」の戦評です。ピックアップ動画も記事の最後にご紹介します!
ヴォレアス北海道 | 3 | 27 – 25 25 – 19 25 – 18 |
0 | 富士通カワサキレッドスピリッツ |
首位を走る富士通カワサキレッドスピリッツと、2位のヴォレアス北海道の直接対決。第1セットは終盤までお互いに譲ずることなく、取られては取り返し、連続ブレイクのあとには連続ブレイクでやり返すのという一進一退の攻防が続いた。富士通はOPの柳田が攻撃の中心となり、フロント、バックどちらからでも得点を稼ぐだけでなく、スロット(※1)をずらしたバリエーションある時間差攻撃などでヴォレアスを苦しめた。20点にさしかかる所で富士通が3点差をつけてリードし、ヴォレアスには厳しい状況になったが、主軸の古田が高さあるスパイクやブロックで得点を稼ぎ、終盤に逆転して第1セットを先取した。第2・第3セットは、ヴォレアスの佐々木、戸田の両OHも硬軟織り交ぜたスパイクやサーブで得点を稼ぎ、相手のディフェンス機能を徐々に低下させ引き離し、ヴォレアス北海道が昨季王者にストレートで勝利、首位に返り咲いた。
ヴォレアスはこの試合、セッターに辰巳を起用。辰巳は第1セット序盤から、MBの田城広とキサルのクイック攻撃で積極的に攻め、両MBも安定したスパイクで得点につなげこれに応えた。そこから第2・第3セットは佐々木、戸田のスロットに変化をもたせたパイプ攻撃、さらには辰巳自身が苦しい体勢になりながらもOP古田にバックセットするなど、富士通を圧倒する得点力を見事にアシストした。またセッターは一般的にブロックの弱点になりやすいが、相手のアウトサイドからのスパイクに対し確実にワンタッチを取り、トランジション・アタックの成功に大きく貢献するなどブロックでも活躍し、チームのゲームプラン成功の大きな要因となった。
第1セットは、序盤のMB陣によるクイック攻撃と終盤のOP古田による高さあるブロックとスパイク。第2セット以降はOHの佐々木、戸田の攻撃力を効果的に引き出しながら、苦しい場面は古田へ果敢にセットアップして得点を生み出す。この試合では、ヴォレアスの各選手の高さを十分に生かすセットによってスパイクのパフォーマンスを維持し、自らもブロックでチームの守備組織維持に尽力するなど、セッター辰巳の活躍によりバレーボールの生命線である「ネット上の空中戦」を制した。サービスエースやブロックポイント、スパイクによるポイントだけではなく、セッターの活躍にも注目していただきたい。
ネットに平行な水平座標軸を設定して等間隔にコート幅を分割し、数字や記号を用いて呼称するコート上の空間位置。一般的には1m刻みにコートを9分割することがあるが、呼称するためにどのように数字や記号を当てはめるかについては様々な方法が考えらる。主として、アタッカーがボール・ヒットする位置を呼称するのに用いられる。
今回は、第1セット24点目をとった古田のスパイクと、第2セットの23点目をとった辰巳のスパイクポイントです!