REVIEW「超戦」vol.16 | 「総力戦」を制したヴォレアスの「超戦」 | 第十六戦 vs 大同特殊鋼レッドスター
シリーズでお届けするREVIEW「超戦」。
今回は「2019-20 V.LEAGUE DIVISION2 MEN」第十六戦、2月2日(日)に東京都で行われた「大同特殊鋼レッドスター戦」の戦評です。ピックアップ動画も記事の最後にご紹介します!
ヴォレアス北海道 | 3 | 25 – 22 25 – 20 19 – 25 17 – 25 15 – 11 |
2 | 大同特殊鋼レッドスター |
V1入りを狙うべく勝利街道を突き進みたいヴォレアス北海道は、ここから少しでも上位に食い込みたい大同特殊鋼レッドスターと対戦した。
この日は両チームともにミスを恐れない果敢なサーブやスパイクの打ち合いを演じた。ヴォレアスは主砲古田や戸田、田城広光などによる様々な場所から縦横無尽に攻撃を繰り出し、対する大同特殊鋼も二五田や寺尾などのパワフルなスパイクで応戦、両者一進一退の応酬が続きフルセットに持ち込まれた。最後はヴォレアスの攻撃力が勝り、セットカウント3-2でヴォレアスが辛くも勝利した。
サーブ&ブロックによって自チームを優位に持ち込む戦術がヴォレアスの特徴の一つであるが、この日の大同特殊鋼は我慢強く対応し、持ち味のオフェンス力の発揮につなげていた。しかし、ヴォレアスの大黒柱であるオポジット(※)古田の活躍はさすがであった。フルセットにもつれ心身共にタフな展開でもチームを鼓舞するかのように、打数が重なっても得点をもぎ取る高い決定力を見せつけ、大同特殊鋼を引き離した。
バレーボールでは、特定の選手にセットを集め打ちまくるワンマンエースと言われるような展開が見られる。しかしヴォレアスは、決して古田頼みのチームではない。それはこれまでの試合と同様に、今回のフルセットの接戦からも見て取れる。個々の選手が主体的で多彩な攻撃を維持し、ディフェンスでも6人が組織としての役割をしっかり担い、歯車がかみ合っている。今回のようなもつれた混沌とした展開では、あえてシンプルでかつ力が最大に発揮できるオプションを選択できたということになり、古田の活躍がそこにあったと言える。
あらゆるゲームシナリオを想定し、それに最適な展開を作り出せるところに、ヴォレアスの強さとエドHCの指導力が垣間見れるのではないだろうか。
元来いわゆる「ライト・プレーヤー」とよばれるポジションであり、Oppositeという「反対側」の意味から、セッターの対角のポジションとしてのニュアンスをもつようになった。現代のトップカテゴリのバレーでは、このポジションは守備よりも攻撃に特化する傾向が強く、オポジットの攻撃力がチーム力に大きな影響を与えていると言っても過言ではない。