ヴォレアスの魂に迫る:選手たちのリアル【#22 鍬田 憲伸】

VOL.2 #22 鍬田 憲伸
このコーナーでは、ヴォレアス北海道の選手たちの普段は表に出ないパーソナルな一面を、代表の池田が深く掘り下げてお届けします。
第二弾は、ポジティブなエネルギーと豪快なサーブでチームを盛り上げる、#22 鍬田憲伸選手。
試合への飽くなき挑戦心と、あふれるチーム愛――逆境でこそ笑顔を絶やさず、道を切り開くこの男
今期、サントリーサンバーズ大阪から移籍し、ヴォレアス北海道で初めてシーズンを通してレギュラーに定着。ポジションはアウトサイドヒッターとして、サーブや攻撃面でチームに貢献。コートの内外で声を出し、周囲を鼓舞するムードメーカーとしての役割も担っている。
シーズンを通して試合に出場し続ける中で、体のコンディション管理や怪我との向き合い方に新たな課題を感じつつも、自身の「ポジティブな声かけ」と「攻める姿勢」を大切に奮闘。 また、北海道のファンが作り出す独特の一体感を心から楽しみ、ホームゲームでは大きなパフォーマンスを見せるなど、サポーターとの距離の近さが魅力の選手である。
昇格2年目ながら健闘を続けるヴォレアス北海道。ホームゲームの熱気とファンの応援を武器に、上位チームとも互角に戦う場面が増えてきた。鍬田選手はそんなチームの雰囲気を「勝ち負けだけでなく、成長に重きを置いている」と語り、チームが持つ“挑戦者”としての姿勢を体現している。

Q:怪我を抱えながらのシーズンで思うように動けず、悔しさを感じる場面があったと聞きましたが、詳しく教えてもらえますか?
「今シーズン、初めて通しで試合に出られる機会を得た一方で、疲労が蓄積し怪我もありました。動ききれない自分が不甲斐なくて、チームに申し訳なさを感じることも多かったです。それでもコートに立たせてもらっている以上、責任を果たす必要があると思い、感情が込み上げることもありました」
Q:試合に勝利した直後、涙を流していた姿が印象的でした。あのときはどのような思いだったのでしょうか?
「勝利の喜びだけではなく、いろいろな感情が混ざった涙でした。自分が怪我で満足に動けていない状態でも試合に出させてもらっていることへの“申し訳なさ”や、それでも助けてくれるチームメイトへの“感謝”が大きかったんです。さらに残りの試合数を考えると、“もしかしたら今年で終わりかもしれない”という思いもあって。そういう複雑な感情が込み上げて、自然と涙が出ましたね」

Q:ウルフドッグス名古屋戦の逆転のサービスエースが非常に印象的でした。あの接戦の場面、どんな思いで臨んでいたのでしょう?
「“ようやく自分の見せ場がきた!”という気持ちでした。ミスしたら負け、でも攻めなきゃ勝てないという場面で、あえて強気にサーブを打ち込みました。相手の選手交代も“崩せるかもしれない”とポジティブに捉え、そこで攻め切れたのが自分の強みかなと思っています」
Q:鍬田選手といえば、ポジティブな声や姿勢でチームを引っ張る印象があります。ご自身ではどう感じていますか?
「高校時代は厳しく怒られることが多く、ネガティブになる要素もたくさんありました。でも、ネガティブでは自分の良さを活かせないと気づいてからは、常にポジティブに考え、思い切り発散するようにしています。結果的にそれがコートでの“勝負強さ”につながっているんじゃないかと思います」

Q:技術面やメンタル面でまだ克服したいことは?
「試合が続く中、怪我を再発させないためにもコンディショニングにはより一層気を遣っています。流れが悪い時にこそ自分の持ち味を出し、チームを鼓舞できる存在でありたいですね」

Q:散々聞かれたと思うけど(笑)改めて北海道での生活はいかがですか?
「熊本出身なので自然が豊かな場所は好きなんです。大阪に比べると買い物できる場所が少ないなど不便さもありますが、寒さはむしろ心地いいと思うほど。海鮮もおいしいですし、住みやすいですよ」
Q:サポーターとの一体感が好きと言ってくれていますが実際にプレーしていてどんな気持ちですか?
「ホームゲームの盛り上がりは圧倒的です。一緒に戦っている感覚があるからこそ、追い込まれた場面でも最後まで諦めずにいられます。アウェイとの温度差を強く感じる分、ここでプレーできるありがたさを常に感じています」
Q:あっという間に、シーズン終盤ですが、改めて残りの試合に向けての意気込みをお願いします。
「ヴォレアスのスローガンやサポーターとの距離の近さが、自分にすごく合っていると感じています。僕自身、残り試合が少ない中で、チームにしっかり貢献し、支えてもらった分を恩返ししたい。ポジティブなエネルギーを注ぎ込んで、ヴォレアスサポーターの皆さんと一緒に最後まで盛り上げていきたいです」

コートでは豪快なサーブや大きな声で流れを変える姿が目立つ鍬田選手。しかし、その裏には怪我の影響や思うように動けないもどかしさがありました。試合直後に流した涙は、勝利の喜びだけでなく、自分を支えてくれた仲間への感謝と、もしかしたら今期が最後かもしれないという切ない思いが混じり合ったもの。
それでも最後までポジティブにプレーし続ける姿こそが、彼の一番の強みです。シーズン終盤、コートに立つ鍬田選手の「ここぞ!」という瞬間に、ぜひご注目ください。
【インタビュー/編集:池田憲士郎】

4月12日、13日 日本製鉄堺ブレイザーズチケット情報はコチラ!
VOL.1 #6 山岸隼 https://voreas.co.jp/12271/