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ヴォレアスの魂に迫る:選手たちのリアル【#6 山岸 隼】

VOL.1 #6 山岸 隼

このコーナーでは、ヴォレアス北海道の選手たちの普段は表に出ないパーソナルな一面を、代表の池田が深く掘り下げてお届けします。第一弾は、ヴォレアス北海道のアタッカー陣を支える2人のセッターの一人、山岸隼選手。入団以来、スタートからコートに立ち、ヴォレアスの躍進に大きく貢献してきた看板選手の一人です。
しかし、今シーズンのスタートはベンチからのスタートでした。
山岸選手に一体何があったのか、その挫折をどのように乗り越えようとしているのか、彼の言葉で語ってもらいます。

「ホームの声援が自分を変えた――挫折から復帰への道」

Q: 単刀直入にー開幕スタメンから外れていましたが、一体裏では何があったのですか?

「オフシーズンから技術的な問題ではなくなんとなく調子が悪く、特に新しい選手が多くトスのタイミングを合わせる必要がありました。それ以外にも、オフシーズンにウェイトトレーニングが多く、自分の筋肉量や指先の感覚も変わり、それに合わせるのに苦労しました。学生の頃はウェイトをあまりやらなかったため、今回はウェイトの重さを少し軽くして筋力を向上させつつ、感覚も取り戻せるように工夫しました。エド(ヘッドコーチ)には相談せず、自主的に調整しました。笑」

Q: 開幕スタメンを外れそうだと感じたのはいつ頃でしたか?

「オフシーズンを通して感じていました。。。本澤選手が良いパフォーマンスを見せていたことも分かっていましたし、天皇杯予選も自分が出場しないだろうと思っていました。」

Q: いつスタメン発表が発表されましたか?

「スタメンは試合当日の朝に決まります。発表の際は、驚きも落ち込みも特になかったです。チームの一員として途中出場の機会もありますし、もちろんスタートで出たかったですが、チームで勝つことが優先です。」

試合を客観的に見ていたときの心境

Q: 試合が始まり、ベンチから客観的に試合を見たときの心境は?

「SVリーグ開幕の対戦相手の日本製鉄堺ブレイザーズも序盤は調子が良くなくて、自分だけが調子を崩しているわけではないんだと少し安心しました(笑)。それと、チームメンバーであるキャプテンの陳さんがオフシーズンからずっとポジティブに声をかけてくれていて、拓也さん(戸田)もよく気にかけてくれていました。ベテランの存在は大きく、必要なときに欲しい言葉をくれるありがたさを感じました。」

Q: ホーム開幕戦、特別な試合だったと思いますが、スタメンではなかった時の心境は?

「旭川の試合は特別で、地元のみんなの前で試合に出たいという思いが強かったです。でも、状況は変わらずスタメンではなかったので、驚きは特にありませんでした。」

Q: サントリー戦の2日目に途中出場し、1セットを取りましたが、その時の気持ちは?

「試合には負けましたが、格上のチームと一時は互角の戦いができたこと、そして何より満員の旭川で多くの人の前でプレーできたのが嬉しかったし楽しかったです。『試合、楽しいです』と素直に思ったことも覚えています。」

復帰してからの心境の変化

Q: サントリー戦の2日目に途中出場して楽しいと思えた後、次の東レ静岡戦でスタメンに戻れなかった時の心境は?

「サントリー戦の後にエドとセッターミーティングを行い、サントリー戦の自分のポジティブセット(ブロックの枚数やトスの良し悪しを含めたいいトスの数値)が過去最高だったと評価されました。でも、自分ではなぜそうなったのか明確な要因が見つからず、その後の東レ静岡戦ではまたスタメンに戻ることはできませんでした。」

Q: サントリー戦を振り返ってみて、好調だった理由は何だと考えますか?

「ホームのお客さんがいる中で良いプレーを見せたいという純粋な思いが湧き上がり、余計な不安やミスへの恐れから解放されて、シンプルにプレーを楽しむことができた結果だと思います。お客さんの声援が自分の良いプレーを引き出してくれたと感じます。それと、技術的にはティモとようやくコンビが合ってきたのも大きかったです。」

今後の目標とシーズンへの抱負

Q: 今シーズンの終わりには、どんな選手になっていたいですか?

「振り返ると、オフで悩んでいた時期はネガティブな気持ちが強く、このままシーズンも終わってしまうのかとも思っていました。でも、その期間に試合に出られなかったからこそ、『試合に出たい』『活躍したい』『もっとホームのサポーターにプレーを見てほしい』と思う気持ちが芽生え、成長できたと感じています。昨シーズンよりも手応えがあり、戦える自信もサポーターの声援のおかげで引き出されました。もっと多くの人に観てもらえる、そんなチームや選手になりたいです。」

Q: 最後に、このシーズンの終わりの景色はどう見えてほしいですか?

「SVリーグの舞台で戦い、シーズンを通して成長した姿でシーズンを終えられたらと思っています。ホームで多くのサポーターが応援してくれる景色をもっと見たいし、サポーターの期待に応えられるように、自分のベストプレーを尽くしたいです。」

そう語る彼の言葉には、試練を乗り越えた自信と、地域に根ざしたプロチームのアスリートとしての誇りが感じられた。彼にとって「勝利」とは、自分ひとりのものではなく、チームや支えてくれるサポーターと一緒に分かち合うもの。だからこそ、プレーに対する彼の思いは強く、観客の声援が彼の力となり、次のプレーをさらに輝かせる。

ぜひ会場で、そんな彼らの「リアル」を、熱気あふれるコートでご自身の目で確かめてください。コートに響く声援が、彼らをさらに強くさせ、そして私たちも一緒に熱狂し、感動する瞬間を生み出すのだ。

インタビュー、編集: 池田憲士郎
VOREAS,INC.