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REVIEW「超戦」vol.11 | トータルバレーを見せた2019年の「超戦」 | 第十一戦 vs 兵庫デルフィーノ

シリーズでお届けするREVIEW「超戦」。

今回は「2019-20 V.LEAGUE DIVISION2 MEN」第十一戦、12月22日(日)に神奈川県で行われた「兵庫デルフィーノ戦」の戦評です。ピックアップ動画も記事の最後にご紹介します!

ヴォレアス北海道 3 25 – 22
25 – 15
25 – 20
0 兵庫デルフィーノ

ヴォレアス北海道にとって年内最終戦の対戦相手は、兵庫デルフィーノ。第1セットは両チームとも多彩な攻撃から一進一退の展開が続いた。デルフィーノはセッター中野の巧みなセットワークやオポジット浅草の力強いスパイクなどで得点を重ねていったが、終盤はヴォレアスの張による強力なサーブや田城貴之の堅実なブロックとクイック攻撃でデルフィーノを引き離し第1セットを先取した。第2・第3セットは、デルフィーノのオフェンスエラーにつけ込み、中央からのクイック攻撃やライトサイドからの大胆なスパイク、そして大きな武器であるサーブで引き離し、ヴォレアス北海道はストレート勝利で今シーズンの前半戦を十勝一敗の暫定首位で締めくくった。

この試合は、前節まで大車輪の活躍をしていた古田やセッター辰巳、MB田城広光を休ませ、セッター本澤、MB田城貴之、他にも山口や関根など多くの選手に出場機会が与えられ、それぞれの選手が持ち味を発揮し活躍した。セッター本澤は、開幕当初はアタッカー陣との呼吸が若干合わない場面も見られたが、今回のデルフィーノ戦では、積極的にMBのクイック攻撃やOPのライトサイドからの攻撃をアシストし得点力向上に貢献した。MB田城貴之も高さを生かしたファースト・テンポ(※1)のクイック・スパイクとブロックでチームに貢献した。

今回のヴォレアス北海道の試合運びは、どの選手が出場してもそれぞれ活躍し、さらにはコート上の戦術にもさまざまな味付けや表情があり、まさにトータル・バレーとも言える。このバラエティーに富んだゲーム戦術を可能にしているのは選手間のチームワークであるのはもちろんのこと、エドHCの采配と戦略こそ鍵であると言えるのではないだろうか。ヴォレアスは前半戦を通して、様々な選手がコートに立ち、多様なオフェンスシステムやディフェンスシステムを見せていた。海外から新たに加入したキサルや張、また辰巳や戸田などの若い選手らは、前半戦で豊富な経験を積み、試合を重ねるごとにパフォーマンスが良くなっているように見える。リーグ後半戦はどのような進化が見られるか、これからもヴォレアス北海道の「超戦」から目が離せない。

※1「ファースト・テンポ」ってなに?
アタッカーの助走距離が確保された中で、セッターのセット(トス)より先にアタッカーが助走動作を開始し、セットされる瞬間と同時くらいにジャンプへの踏切を完了させてして打つスパイクのこと。スロット1からのクイック(Aクイック)などで、ファースト・テンポ(1st・tempo)がよく見られる。セッターからのセット・アップを基準とした時間軸の中で、アタッカーの助走動作が行われるタイミングを区分するのを「テンポ」と呼ぶ。さらに同じファーストテンポの時間軸の中でもアタッカーの踏み切り動作が行われるタイミングに注目し、アタッカーの踏み切り動作がセット・アップの瞬間にほぼ完了しているものをマイナス・テンポ(tempoゼロ)と呼ぶことがあり、アタッカーは空中のわずかな時間でセットされるボールを待つようなプレーとなる。これに対して、踏切動作が完了していないものがファースト・テンポと呼ばれており、マイナス・テンポに比べアタッカーは空中でセットされたボールを見る時間と打点の高さを確保しやすい特性があるため、クイックの決定率に違いがでる。

 

PICKUP PLAY

今回は田城貴之のブロックと、ファースト・テンポでの高い打点からのクイックをピックアップしました!相手ブロックが2枚付いていても高さがあるクイックでブロックの上(相手のMBは田城貴之より背が高い…)から決めています。助走動作のタイミングにも注目です!

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